トンカットアリの老舗「百寿庵」

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●2008年5月の風月譚 
大阪 適塾


 例年になく桜前線の北上が早いようで、都内の「ソメイヨシノ」と北国の桜は異なる
ようで、多種多様な桜を愛でることに感謝なければなりません。
又、散々悩まされた杉花粉もどうにか過ぎ、新緑の5月を十分楽しむ頃合となりました。
通勤途中にある「藤棚の新芽」も無事育ち、二週間で紫色の花弁を付けどうにか今年も
そのふくよかな芳香を楽しむことが出来そうで、通勤の楽しみとなっております。
樹齢80年以上の老木で、表皮は駈落ち「今年は大丈夫か」と問い掛けるのですが、
何時もこの木の生命力に驚いております。

 現在の仕事に携わるようになってから、毎月大阪に出かけるようになりました。
大阪といえば、小さかった頃NHKのラジオをとおして「花菱アチャコ」なる人物の大阪弁を
初めて耳にした時の可笑しさと、後年書物から「またも負けたか八連」なる言葉に
接した時の大阪気質に笑いをそそった位で、大阪に馴染みがあるわけでありません。
大阪に感じることは先ず緑が少ない事と、魅力的場所がいたって少ない事に気が
つきます。京都・神戸には観光地として訪れてみようとする場所が数限りなくありますが、
大阪にはあらためて訪れてみたい場所があまり無いといえます。
この中で、1度尋ねてみたいと思った場所が「適塾」であります。
更にもう一つ挙げるというならば東大阪市の「司馬遼太郎記念館」でしょうが、こちらは
主の存在を身近に感ずる場所が未だ残っており、訪れるたびに大きな遺産が継続して
いることを感じます。
近鉄河内小阪駅から記念館までの蕎麦屋さん・珈琲ショップなどに御夫婦の佇まい・余韻
を感ずる所が多数あります。
他方この「適塾」は大阪の人にもほとんど知られていない場所で、大阪のど真ん中北浜
三丁目(淀屋橋)にありながら、ほとんど訪れる人も無い現状であります。
緒方洪庵が1837年に蘭学塾・適塾を大阪瓦町に開き1862年に江戸に移住するまでの
25年間が活動の期間であります。
天保・弘化・嘉永・安政・蔓延・文久・慶応・明治と時代が激動したなかで、この適塾が
どんな逸材を輩出したのか興味があり、前々から1度訪ねてみようと思っていました。
塾祖福沢諭吉先生がこの適塾の出身であるほか、いろいろな書物に接する中で、この
適塾の名を散見したわけです。
 もともと緒方洪庵は、天然痘の撲滅に「牛種痘」を取り入れたり、腸チフスの治療に
最新技術を採用し高い名声を得ていたようで全国各地から逸材が集まったようです。
急な階段を上がると、在籍者の名前とか出身地などの表示がありますが、その中に
手塚良庵」の名前がありました。この人はなんと、かの「手塚治虫の曽祖父」なんですね。
福沢諭吉は、彼が余り身持ちが良くなかったので誓約書を書かせ品行を改めさしたのですが、
いざ品行が改まると面白くないと福沢諭吉は仲間とはかり、手塚の馴染みの遊女の名を
語り「ニセ手紙事件」を起こすなど,勉学に励む一方青年真っ盛りの精気がみなぎって
いたようです。「大村益次郎」もその一人で、もともと長州の人で医者であったようですが、
4年間在籍した後、軍務に精通し戊辰戦争では新政府軍を指揮しております。
日本陸軍の生みの親として,靖国神社に銅像がある所以がうなずけます。
いつも70人位の人が畳一枚を占有するくらいの環境の中で、蘭和辞典を真中にして猛勉強
したであろう事が、今も垣間見ることができます。
決して十分な辞書とは言えない中で、よく成果を挙げるにいたった人々の力に感服する
限りであります。
福沢諭吉も二年目で塾頭になるのですが、塾頭になるのも試験の選抜に勝ち残らないと
いけないわけで、大変な努力才能があったことなのでしょう。
今日と比べて、情報源・量が限られているにも拘わらず、当時の人々の深遠な知識に驚きを
禁じ得ないのですが、漢文の素読を通して各々の言葉の持つ意味合いを十分理解し、
それを通して論理的組み立てが自然と身についたのでしょうか。
大鳥圭介は土方歳三と共に五稜郭戦争を戦った人物ですが,彼も門下生の一人です。
「死ぬのはいつでもできる。ここで一番降参と洒落てみよう」と降参し明治44年までの
波瀾の人生を送っております。この時、新政府軍の総指揮者が大村益次郎であったことも
何かの縁(えにし)でしょうか・・
その他、日本の赤十字運動の先駆者といわれる「高松凌雲」、赤十字事業の創始者
佐野常民」などの人材が輩出されております。
明治維新にいたる動乱の中で,福井藩の松平春獄の名前が良く出てきますが、彼の片腕
として活躍した「橋本佐内」も出身者でした。
緒方洪庵は最も彼の才能を評価していたようで,25歳で安政の大獄に連座したことで
処刑されてしまうのですが、本当に惜しい人材であったようです。
 このように適塾の存在は短期間であったにも拘わらず、日本の近代化に大きな足跡を
残しました。しかし、適塾が順風満帆に進んだわけではなく、いわば守旧派と進歩派と
いうべき対立があったようです。
守旧派は漢方医学で進歩派は蘭方医学で、当時は出版の権限・許認可の権限もすべて
守旧派が握り、その存在は老害であったようで、このような事態は今も昔も変わらない
ようです。萩の吉田松陰の松下村塾が「時代の危機的状況を政治的方面から打開するに
足る、志操と能力を備えた人物を送り出す
」という事に対し、洪庵は「塾生たちの発奮を
誘って勉学に向かわせ、併せて彼らに自主性を植え付ける
」と人材の育成に関し、異なる
視点をもって臨んでおりますが、双方必要な時代背景であったのでしょう。

 昔、緒方竹虎という政治家がおりましたが、1956年彼が68歳で死んだことが大々的に
新聞に取り上げられたことを記憶しておりますが、彼は緒方洪庵の義弟緒方郁蔵の孫に
あたるようです。彼の三男・四十郎の妻が国連高等弁務官の緒方貞子さんと何か、この
家族から清新な家系の印象を受けます。
緒方家はその後多くの名医を輩出し、日本の近代医学の創生におおきな足跡を残して
おります。
 このように、大阪は明治維新・近代医学の礎になった人材を育てた所であります。
街を歩いてみても大阪大学が移転したせいか,学生を余り見かけなく、活力が無い
ような印象を受けますが、新たな「適塾」を創造してもらいたいものです。

P/S
 ねじれ現象により,今まで等閑にしてきたことが明らかになりました。
国交省・厚労省・文部省・防衛省・・・・すべて歳出のあるところに出鱈目がありです。
高齢者医療の高々2,200億を国民に押し付け,他方米軍の思いやり予算8,000億を
なんとも思わない政治はやめてもらいたいものです。
衆議院の自民党の半分以上,全体の37%が二世・三世議員との事で、この国の民主政治は
未だ半開であります。
内閣の支持率が30%を切るなかで未だ、自民党の支持率が一番とはこの国の国民の
政治感覚がねじれているとしか言いようがありません!
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2008年

4月 文明半開か・・・
3月 沈黙の螺旋(スパイラル)
2月 アメリカについて 三題
1月 2008年は中国の年?/くたばれ巨人軍


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7月 盛夏に向かって
6月 半世紀の時間
5月 ボストンのある一面
4月 4月は新年度
3月 四季の変化
2月 これは「美しい国」のやることか
1月 平成19年 新しい年を迎えて


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3月 谷口直之君の退職記念出版に際して
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2月 GOOD BYE Mr.CHIPS(チップス先生さようなら)
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戦争遺児として私の一言
7月 上期4題
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4月 4月は新たな出発の月=私の高校時代=
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1月 酉年にあたって

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8月 私のPROJECT−X 甲子園への道(PART2)
7月 私のPROJECT−X 甲子園への道(PART1)
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5月 FENWAY PARKの思い出
4月 お釈迦様と四聖諦八正道
3月 『起業5年目にあたって‐‐新たに知った事・新たな財
2月
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1月 『暴君の初夢』 

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12月 『6歳のLADYに学んだこと 』
11月 『文化そして万歳三唱 』
10月 GOLD FINGER 荒木 敏明 君 』
9月 9月11日とイスラムの人々 』
8月 戦後と58年後の今日 』
7月 『三色旗ー自由,平等,博愛 』
6月 『JUNE BRIDE (6月の花嫁)
5月 『とつき十日の下宿屋の宿賃』

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