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「百寿者(ひゃくじゅしゃ)になろう」抜粋集


■ (88) もっと魚を食べよう『DHAの魔法』
 ■ DHAは頭の働きをよくする

 n-3系脂肪酸研究で知られる浜崎智仁富山医科薬科大学教授は、DHAが敵意性に
及ぼす影響という興味ある実験を学生に行いました(「栄養ー評価と治療」14巻3号)。
DHA群には、1日1.5〜1.8gのDHAカプセルを3ヵ月間投与し、その前・後にストレスを
感じさせる絵をみせ<picture frustration (PF)スタディ>、それに対する回答に
よって敵意性を判定しました。2回目の検査時は進級に関係する重要な試験の1週間前
であったため、PFスタディをのんびり行う余裕はなかったはずで、案の定、対照群
では敵意性が有意に増加しました。しかし、DHA群にはそのような変化はみられず、
DHAに抗ストレス作用があることが認められました。対照群の1日のDHA摂取量は約0.2g
でした。浜崎教授は、DHAを1日1g以上摂取することを推奨しています。対照群は
明らかに摂取不足でした。最近、青少年が切れやすいことが問題になっています。
この現象に対し、「ただでさえ、不安定な思春期から青年期、その精神形成に魚を
食べなくなった日本人の食生活の変化が影響を及ぼしている可能性は否定できない」
(『新技術を生み出す国研・大学の挑戦』藤本瞭一著、日刊興業新聞社)という
DHA犯人説が浮上しています。
 魚をたくさん摂取すると、脳内のDHAが、情報伝達を担う神経組織であるシナプス
で増えます。すなわち、DHAが脳や神経の情報伝達に深くかかわっていることが
わかってきました。そのため、現在注目されているのは、老人性痴呆との関係です。
アルツハイマー病で死んだ人の脳内には、DHAが正常人の半分程度しかありません
(『新技術を生み出す国研・大学の挑戦』)。さらに重要なのは、妊婦が出産3ヵ月前に
積極的にDHAを摂取すると子どもの脳の発達を促し、一方、ほとんど摂取しない母親
から生まれた新生児は脳が小さい、ということです。豊富なDHA摂取は、記憶学習効果を
高めるので、脳機能が発達する胎児(妊婦)から青少年にいたるまで魚を十分に食べる
ことが非常に大切です。特に、乳幼児の脳細胞の成長を助けるために、現在、DHA添加
ミルクも販売されています。加えて、すでに紹介した理由で、すべての年代にわたって
のDHA摂取が大事です。
 この項の最後に、DHAマジックの一例として、魚の消費量が多いとうつ病の発症率が
小さいという関係を紹介します。最近、うつ病の増加は、大きな社会問題になっています。
魚食の低下と関係がありそうです。  

【百寿者になろう】より抜粋(著者の了解済み)
 著者 杏林大学医学部教授 大野秀樹
 定価1,260円(税込)


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