| 「百寿者(ひゃくじゅしゃ)になろう」抜粋集 |
| ■ (8) 牛乳を飲んでください-@ |
| 日本人の大きく足りない栄養素の1つはカルシウムです。 これが、今や国民病ともいえる骨粗鬆症の大きな原因になっています。 その対策には、カルシウムを豊富に含み、吸収率が高い牛乳を生涯に わたって飲用することが有効です。 特に、成長期にたくさんの牛乳を飲むことの大切さを強調したいと思います。 ■牛乳とミネラルウォーター 筆者は、北海道の大学を卒業し、その後約15年ほど道内各地で患者さんを 診た体験を持っています。そのため、朝は早くから病気になっても365日休み がない酪農家の仕事の大変さを何度も目にしてきました。慢性肝炎や糖尿病 などの慢性疾患が悪化し、絶対入院に近い状態でも、牛の世話があるからと、 ことごとく入院を拒否されました。こんな状況は、ジョージ君の漫画で有名な 東海林さだお氏の次の言葉に象徴されています。 「・・・・牛乳とミネラルウォーターは同じ値段なのである。 これは社会的な問題としてみて、実にけしからんことなのである。 ・・・・だって、そうでしょう。牛乳のほうはミネラルウォーターと比べて、比較になら ないほど大変なのだ。牛乳は、まず牛というものが存在しなければならない。 そして、その牛にエサを食べさせなければならない。・・・・・病気にならないように 注射もしなければならない。 朝早く起きて乳をしぼり、それを車で集乳所まで持っていかなければ ならない。 ならないことばかりなのだ。・・・・ミネラルウォーターのほうは、なーんにも していない。涌いているのを、ただ汲んできただけ。・・・・・汲んで箱に詰めるだけ。 これが同じ値段で売られているとは、どういうわけだッ。おじさんは怒ってるんだゾ」 (『東京ブチブチ日記』文芸春秋) ■牛乳の成分 牛乳の特徴は、良質なタンパク質と日本人に不足がちなカルシウムが豊富なこと です。ビタミンAとB2も比較的豊富です。熱量(エネルギー)の約半分は脂質による ものです。そのため、欧米では、低脂肪牛乳(ローフェットミルク)のほうが主流になって います。ちなみに、一般の低脂肪牛乳では、200mlあたり脂質が3.0g、エネルギーが 96キロカロリーとなっています。意外なことに、低脂肪牛乳のカルシウム含量は248mg と普通乳よりも2割も高値を示します。 さらに、カルシウム教化低脂肪牛乳では、200mlあたり463mgものカルシウムを含み、 また、カルシウム代謝に重要なビタミンD(腸管でのカルシウム吸収を高める)が58IUと 成人1日所要量(100IU、『第六次改定日本人の栄養所要量』)の半分以上も添加されて います。最近、脂質の過剰摂取が生活習慣病(特に、肥満と糖尿病)の原因となっている ことが指摘されているように、筆者は、低脂肪牛乳飲用を推奨いたします(味はかなり 改善されてきました。 おまけに、値段が安い!)。本章では、このカルシウムを中心に話を進めていきたいと 思います。 ■カルシウムの一日あたりの所要量 成人の一日あたりのカルシウム所要量は、男女ともに長らく600mgでした。 (妊婦、授乳婦を除く)。しかし、平成13年国民栄養調査でも、男性は20? 59歳、女性は15〜59歳でこの所要量を下まわっていました(70歳以上で、 男性は550mg、女性は533mgと再び不足します)。その充足率の内訳は、男、 女の順で、15〜19歳(106.86%)、20〜29歳(78.76%)、30〜39歳(81.80%)、 40〜49歳(81.82%)、50〜59歳(95.96%)です。女性のより低い値が目立ちます。 こうして、カルシウム不足が続いているにもかかわらず、1999年の『第6次改定 日本人の栄養所要量』(栄養所要量策定検討会)では、新たなカルシウム摂取基準が 決められました。しかし、この改定は、成長期の年齢別所要量がより細分化されたこと、 許容上限摂取量が決められたことを除いて、従来と大きな差はみられません。 筆者は、食品からのカルシウム吸収率が小さいこと <牛乳:52.7%、小魚:33.7%、野菜:17.8%(「栄養と食糧」6巻3号、兼松重幸著)> などを加味すると、幼児期を除いて各数値にさらに100 〜200mg上乗せしたほうが よい、と考えています。特に、成長期(とりわけ、最も身長が伸びる男性では15歳、 女性は11歳前後)には、後述する最大骨量を高めるために、1,000mg以上のカルシウム 摂取をお勧めします。 |