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「百寿者(ひゃくじゅしゃ)になろう」抜粋集

■ (66) 非喫煙者と住モーカー

 
■ 百寿者の喫煙

 百寿者の喫煙状況ですが、60歳以上の人と比べると、 
現喫煙者は男性ははるかに少なかったですが(2000年度37.7%と比較して)、
女性の喫煙率は意外にもわずかながら上まわりました(同6.7%)男女ともに
90歳になってからの断煙が多いのは、最後に紹介するように、肉体が喫煙に
耐えられなくなってくるからではないでしょうか。その証拠に、40本以上の
ヘビースモーカーは、男女いずれも断煙しています。女性の喫煙のきっかけ
は興味本位が少なくなく、孫が悪戯して吸わせてみたのが病みつきになった
例もあるそうです。男女ともに、1日20本以上のスモーカーが3名ずつ存在
しました。日本画家・横山大観氏は90歳で亡くなるまで毎日一升酒を楽しんで
いたから大酒を飲んでも構わない(実際は、これほどには飲んでいなかったらしい)
という屁理屈が存在するように、この事実を喫煙の擁護に利用する人がきっと
出てくるでしょう。もちろん、これも屁理屈であって、この六名あるいはさらに
少ない本数の現喫煙者たちは、個人差(たとえば、目次(50)から(54)の
「百寿は遺伝子だけでは決まらない」で紹介した遺伝子の違いなど)によって、
長寿を得ることができたのだと思います。タバコがなければ、百寿者がもっと
多く出現した可能性が高いでしょう。



■ 喫煙の健康への影響

 
 タバコには、ダイオキシンも含めて無数といってもよい化学物質が含まれています。
その中でも、とりわけニコチン(中毒<習慣>性、血管収縮などの交感神経刺激)、
一酸化炭素(運動能力低下、全身の細胞の酸素不足)、タール(さまざまな発がん物質)
が重要です。その結果、種々のがん、虚血性心疾患、閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、
気管支喘息、肺気腫など。最近、注目を集めています)、消火器疾患(胃・十二指腸潰瘍など)
などが発生します。妊婦が喫煙すると、低出生体重児、早産、妊婦合併症の危険が
高まります。特に、がんは呼吸器系に多いのは当然としても、喫煙は全部位のがんの
32.3%にも関与しています。たとえば、食道がんの場合には、喫煙と大量飲酒が重なると
150倍ものリスクになるように、他の生活習慣との相乗効果も重要です。タバコの害の
認識として問題なのは、全体の84.5%の人が「喫煙で肺がんにかかりやすくなる」と思っている
一方で、「心臓病」は40.5%、「脳卒中」では35.1% とがん以外では低率になっている点です
(「平成10年度の喫煙と健康問題に関する実態調査」)。さらに、タバコに依存症があることを
認識している人は約半分しかおらず(51.8%)、そろそろタバコは嗜好品ではなく健康の(大)
危険因子であることを国民にきちんと知らせる時期にきたと思います。このキャンペーンは、
タバコ税など他の問題と絡めるべきではないでしょう(厚生労働省の「健康日本二一計画策定」
から喫煙率・タバコ消費量半減という目標が撤回されたように、また、テレビでタバコ広告が
氾濫しているように、現状はお寒い限りです)。タバコのリスクをちきんと認識している
にもかかわらず喫煙を続けるのは、分煙をしっかり行うという条件つきで個人の自由かも
しれませんが、将来、確実に医療費の増大に貢献することになるでしょう(タバコがなければ、
毎年、一兆円以上の医療費が節約できます)。
 タバコの害を断ち切るには、禁煙する他はありません。主にニコチンによる最初の数週間
の離脱症状を乗り越えると、目覚めがさわやかになる、咳や痰が減って呼吸が楽になる、皮膚
のつやがよくなる、食べ物がおいしくなる、肩凝りがとれる、などの自覚症状の改善がみられ
ます。ここまでくればしめたもので、これが長期に持続すると、すでに述べた各種疾患の死亡
リスクが低下します。がんの死亡率は禁煙期間が長いほど下がり、禁煙以前の喫煙歴が短い
ほど非喫煙者並みの死亡率に早く到達できることが知られています。

【百寿者になろう】より抜粋(著者の了解済み)
 著者 杏林大学医学部教授 大野秀樹
 定価1,260円(税込)


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