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「百寿者(ひゃくじゅしゃ)になろう」抜粋集

■ (65) 非喫煙者と住モーカー

 タバコの健康に及ぼす害は、いまさら改めて述べる必要はないと思われるかもしれません。
しかし、日本人の特に男性の喫煙率の高さは先進国では群を抜いています。しかも、吸わ
ない人にまで害を与えます(受動喫煙)。非喫煙者は、同じ非喫煙者と空間をともにしましょう。


■ 開高健と喫煙 

世界中を放浪した『オーパ!』(集英社)(ブラジル・アマゾン地域の言葉で、驚いたときや
 感嘆したときに使う)の作家・開高健氏は、タバコについて興味ある発言をしています
(『舞台のない台詞:気ままな断片401』新潮社)
「暗がりで吸うタバコはどうしてあんなにまずいのか。鼻さきで火がポッ、ポッと赤くなったり
暗くなったりする。それにつれて心がひろがったり、ちぢんだりする。けれどまずいのである。
 煙が眼に見えないと味も香りも半分以上ぬけてしまうような気がする。煙の見えないところ
で吸うタバコには何かしらビジネスのようなところがある。ビジネスでタバコを吸う人はあるまい。
 煙がユラユラと崩れたり、渦を巻いたりしてやわらかく自由に形を変えつつたちのぼるのを
見るのがたのしいのである。それを見て眼が遊び、心が遊ぶのである。タバコは眼で吸うもの
だと思う」
 筆者も、かって愛煙家でした。しかし、あるとき気がつきました。ほとんどの喫煙は、惰性で
吸っていてこの暗がりでの喫煙のようなものではないか、と。そして、一気に禁煙を実行しま
した。ただ、仕事の後の一服、食事の後の一服などの満足感はよくわかります。以下で述べる
タバコの害を承知のうちでの喫煙でしたら、嗜好にケチをつけるのも大人気ないので、まあ
仕方がないのかもしれません。しかし、吸わない人に迷惑かける権利はまったくありません。
ここでは、防煙、禁煙、さもなければ分煙を強調したいと思います。

■ わが国の禁煙状況

 1966年、なぜか男女ともに禁煙率が83.7、18.0%と最高値を示し、その後、最新の2001年
の調査(日本たばこ産業株式会社)では52.0、14.7%と、男性は漸減傾向ですが、女性は
15%前後の横ばい 状態にあります。男性の低下傾向は、60歳以上の高齢者により顕著です。
一方、20歳代、30歳代の 若い女性の喫煙率上昇傾向にあることがもうひとつの特徴です。
この傾向は、さらに若年者で みられ、2000年度の全国調査では、毎日喫煙者が高校3年男子
で25.9%(1996年25.4%)女子で8.2%(同7.1%)に達していました。
(「厚生の指標」臨時増刊「国民衛生の動向」50巻9号)。
 未成年者の喫煙と父母の喫煙を調査すると、両親とともに吸えば子ども喫煙率が最も高く
なり、 ともに非喫煙率が最も高くなり、ともに非喫煙ならば最も低くなるのは予想どおりと
しても、父親のみ吸うよりも母親のみが吸う場合のほうが明らかに高いのは興味深いところ
です。
 若年からの喫煙は、タバコの害がより大きくなります。例えば、同じ20〜30パックイヤー
 (喫煙年数×1日あたりタバコパック数)のグループでも、30歳以上で喫煙をはじめた人は、
非喫煙者に比べて肺がんで死亡するリスクが2.3倍高いのに対し、19歳以下ではじめると
6.0倍に高まります。(「臨床栄養」95巻7号、蓑輪眞澄著)。すなわち、喫煙防止教育を
小学校からはじめることが重要です(最初の喫煙体験の多くは小学校時代にはじまります)。
喫煙教師が喫煙防止教育を行っても十分な効果期待できないのは当然でしょう。地域ぐるみ
の、あるいは国家的な包括的喫煙対策が必要なのは、いうまでもありません。
減ったとはいえ、日本人男性の禁煙率の高さ、一人あたりの喫煙本数の多さは、先進国
の中では際立っています。他の国の統計資料がやや古いので、実際の差はさらに大きい
ことが推測されます。女性の喫煙率が低いのは、伝統的な社会的要因に影響されていた
のかも しれませんが、昨今のバリアフリーの風潮を考えますと、若い女性の上昇傾向は
要注意のようです。

【百寿者になろう】より抜粋(著者の了解済み)
 著者 杏林大学医学部教授 大野秀樹
 定価1,260円(税込)


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