| 「百寿者(ひゃくじゅしゃ)になろう」抜粋集 |
| ■ (56) 活性酸素は怖くない |
| ■ 活性酸素とは 私たちは、1日に約500リットルの酸素を吸収しています。普段意識しないだけで、 『息苦しい』という言葉に代表されるように、酸素がなくてはならないものであることは 誰でも知っています。一般の人が、この命の綱である酸素が活性酸素という毒に変わる ことに驚き、意識し出したのは、実はほんの四半世紀ほど前のことです。 それ以前に多発していた未熟児網膜症がそのきっかけでした。これは、酸素不足状態に 陥った未熟児に40%以上の高濃度の酸素(空気中では21%)を与えた結果、酸素の循環機能 が不十分なためにたくさんの活性酸素が発生し、網膜細胞が非可逆的に損害を受けて 失明にいたった例です。 酸素の必要性のみ強調され、その毒性が認識されていなかったためです。その後、健康、 老化、疾患などと絡んで活性酸素ブーム(?)が起き、今日まで続いているのはご存じ のとおりです。 活性酸素は、「寿命が短く、生体内で多くの酸化反応にかかわり、反応性に富む 酸素分子種」と定義できます。つまりは、すぐそばの誰ともケンカをはじめるやんちゃ 坊主の酸素種のことです。具体的には、通常の酸素が一電子還元を受けたスーパーオキシド、 さらに一電子還元された過酸化水素、さらにもう一電子還元されたヒドロキシラジカルが 中心をなしています。特に、スーパーオキシドは毒性は弱いもののほぼすべての活性酸素種 の源として、ヒドロキシラジカルは最も強い毒性で重要です。そのため、スーパーオキシド を代謝するスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)という酵素、ヒドロキシラジカルの発生 に関与する鉄などの遷移金属(種々の酸化数をとる金属)がとりわけ大事です。たとえば、 約36億年前に誕生したごく初期の生物・嫌気性菌でさえ、すでにSODを有していました (当時の空気中酸素濃度は、現在の一万分の一にもかかわらず)。生物の進化の歴史は、 まさに活性酸素との戦いであったといっても過言ではなく、わずかの生物がそれに勝利し、 現存しているわけです。空気中の酸素濃度が高まるにつれて、生物は新しいタイプのSODを 手に入れてきました。 |
| 【百寿者になろう】より抜粋(著者の了解済み) 著者 杏林大学医学部教授 大野秀樹 定価1,260円(税込) |