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「百寿者(ひゃくじゅしゃ)になろう」抜粋集


■ (52) 百寿は遺伝子だけでは決まらない

  ■ 百寿者の遺伝的特徴

 目下、寿命延長効果が科学的に認められている唯一の手段は、カロリー制限(低カロリー食)
です。カロリー制限は、若齢期からばかりでなく、中高齢期になってから開始してもある程度の
寿命延長効果があり、生物学的な老化を遅らせる効果も認められます(「生体の化学」53巻5号、
後藤佐多良ら著)。これに対する有力な説明の一つに、活性酸素による酸化ストレスの減少が
あげられています。ごく最近、低カロリー食で寿命が延びたサルに、低体温、低血中インスリン
濃度、およびDHEAS(デビドロエピアンドロステロン)と呼ばれる一種の男性ホルモンの血中濃度
低下の遅延、という3つの特徴がみられることが明らかにされました(「Science」297巻5582号、
ROth,G.S.ら著)。興味あることに、この3つの特徴を備えた人は、カロリー制限をしていなくとも
高い生存率を示しています。
 このような点も踏まえて、さまざまな長寿遺伝子の追求が世界中で精力的に行われています。
ここでは、その詳細は省略しますが、百寿者の遺伝的特徴を2、3紹介しましょう<『平成13年度
厚生科学研究所費補助金(長寿科学総合研究事業)総括・分担研究報告書 百寿者の多面的検討
とその国際比較』山村憲ら著>。
 (1)抗動脈硬化因子であるアポE2型が多く、虚血性心疾患やアルツハイマー病の危険因子
   であるE4型が少ない、
(2)虚血性心疾患や糖尿病のリスクが低い、善玉HDLコレステロールを上昇させる
   LPL Pvu U(-)多型が多い、
(3)喫煙関連発がん関連因子であるグルタチオンS-トランスフェラーゼM1欠損が低い。
   加えて、この欠損とアポE4型の存在という重複危険遺伝子をもちあわせている人は
   認められない、などです。
山村氏(慶應義塾大学医学部)らは、今後の展望として、前出の「Science」の報告にあたかも
一致させたかのように、次の3つの遺伝子の検索を強調しています。
(1)インスリン/IGF-1(インスリン様増殖因子-1)情報伝達系<百寿者は、糖尿病に罹患
   している人が非常に少ない(2.1%)ため>、
(2)抗酸化系(活性酸素によって老化が促進されるというラジカル説が広く信じられています)、
(3)タンパク質合成系とエネルギー代謝系(百寿者の栄養状態は非常に良好であり、
    また、カロリー制限食の効能のように、エネルギー代謝と寿命の関係が重要と
    考えられるため)。

【百寿者になろう】より抜粋(著者の了解済み)
 著者 杏林大学医学部教授 大野秀樹
 定価1,260円(税込)


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