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「百寿者(ひゃくじゅしゃ)になろう」抜粋集


■ (51) 百寿は遺伝子だけでは決まらない

 ■ 遺伝子が最大寿命を決めている
 
 寿命に遺伝子が決定的な影響を与えている最大の証拠は、人の限界寿命が
120歳程度に制限されていることでしょう。すなわち、これまで125年以上
人が生きたという確かな報告は皆無です(ちなみに、2003年11月13日現在、
日本一の長寿者は113歳の小山ウラさんです。)これは、寿命があらかじめ
遺伝子によってプログラムされていることに他なりません。現在、その最も
信じられている証は、ヒト体細胞(生殖細胞以外のもの)が有限の分裂寿命
を持っていることです。それには、テロメアDNA 《5’(TTAGGG)n-3'という
六つの塩基{遺伝情報の構成要素で、A(アデニン)、G(グアニン)、
C(シトシン)、T(チミン)の4種があり、三つの組み合わせでアミノ酸が
きまる}の繰り返し配列からなる》が細胞分裂を繰り返すたびに50〜150塩基
ずつ5’側が短縮し、はじめの約1万塩基対から5千塩基対程度まで短くなると、
それ以上細胞は分裂しなくなるという事実が深く関与していると考えられています。
正常体細胞は短縮した部分を修復するテロメラーゼという酵素の活性が低いが、
逆に、生殖細胞やがん細胞では高値を示すために無限増殖が可能になるのです。
 一方、ご存じのとおり、加齢に伴う身体・精神機能の低下、つまり老化現象
はきわめて個人差が大きいため、種としての人の寿命ではなく、各個人の寿命
(たとえば、百寿者になれるかどうか)は、単純にテロメアによって規定され
ているのではなく、さまざまな遺伝子(および後述するように種々の環境要因)
の影響を受けていることが予想されます。

■ 百寿者は長寿家系に多いのは事実である

 昔から長寿家系や、これまでに何度も紹介してきた沖縄などの長寿地域が知られています。
これは、長寿には環境要因はもちろん、何らかの遺伝的要因が関連していることを強く
示唆しています。たとえば、沖縄の百寿者家系(百寿者を出した家系)と同じ地域の 
非百寿者家系(百寿者を出したことのない家系)の寿命を比較した研究では、平均寿命
達成率、80歳達成率、90歳達成率のいずれも百寿者家系で高いことが示され、百寿者家系
が長寿家系であることが報告されています(「日本老年医学会雑誌」22巻5号、鈴木信ら著)。
さらに、デンマークの双生児研究によると、人の寿命に対する遺伝因子の寄与率は約25%と
推定されています。こうして、長寿に遺伝的因子が関与していることは、まちがいないと
思われます。

【百寿者になろう】より抜粋(著者の了解済み)
 著者 杏林大学医学部教授 大野秀樹
 定価1,260円(税込)


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