| 「百寿者(ひゃくじゅしゃ)になろう」抜粋集 |
| ■ (46) 運動は寿命を延ばすのか |
| ■ 運動量が多いと短命になる? 1992年、東京大学大学院理学系助手の加藤邦彦氏は、著書『スポーツは体にわるい』 (光文社)の中で、「運動は活性酸素という毒を発生させ、寿命を縮める」という 警告を発し、スポーツ、体育関係者のみならず、一般スポーツ愛好家にも強い ショックを与えました。この根拠となった事実の一つが、大妻女子大学の大澤清二教授 らによる報告です(産経新聞1991年1月26日)つまり、体育学部をもつ国立大学の卒業 生のうち1872年から1981年までの死亡者(戦争関連を除く)を体育系、文科系、理科系 に分けた結果、平均寿命が文科系66.8歳、理科系66.1歳に対し、体育系は60.6歳と明らか な短命を示しました。その後、加藤氏の主張は、活性酸素研究者から否定され (「運動と活性酸素」については、第14章で改めて説明いたします)、なぜか、大澤氏 もこの点を以降の著作で触れなくなり、後述するとおり、逆に、寿命とスポーツの関係 について肯定的な意見に変わってきています。 しかしながら、人は、遺伝子以外に学歴、職業、経済状態、嗜好、趣味など複雑多岐な バックグランドを持ち、運動自体も種々の条件を有しているので、運動は寿命を延ばす のか、という問いに対する回答はそれほど単純ではありません。そのため、疫学や統計学 がこれほど進歩した現在でも、充分な合意を得たコンセプトはまだないようです。 ここでは、代表的な研究成果を紹介し、最大公約数にまとめたいと思います。 |
| 【百寿者になろう】より抜粋(著者の了解済み) 著者 杏林大学医学部教授 大野秀樹 定価1,260円(税込) |