トンカットアリの老舗「百寿庵」

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「百寿者(ひゃくじゅしゃ)になろう」抜粋集


■ (33) 酒は百薬の長か

 酒は百薬の長かC

 
■ ワイン、とりわけ赤ワインは最も奥深い酒である
 
 私が素人の薀蓄を傾けるよりも、ここでは質の高いワイン研究家である
井上宗和氏の言葉を借りたほうが読者のためでしょう。
 《明治維新から後の習慣だが、天皇の重臣や高官が、重病になっても
おそらく駄目だ、ということになると、天皇のお使いがうやうやしく、
シャトー・デイケム(白ワイン甘口:筆者注)をとどけるのである。すると
それをもらったほうは、ああ遂にイケムが来たか、もうイケムませんとガッカリ
してあの世に旅立つのである。まあ、冥土の旅の旅立ちに、世界の名酒中の
名酒を飲ませてやろうか、という有難い配慮だろうが、・・・・・》
《1868年にカール・ハインリッヒ・マルクスーすなわち例のマルクス主義
の創設者であるーの娘さんイエニーが、父の親友であったフリードリッヒ・
エンゲルスに変な質問をこころみた。イエニー「不幸感とは」:エンゲルス
「歯医者に行くこと」、イエニー「あなとの主な性質は」:エンゲルス
「何でも生半可に知っていること」、イエニー「幸福感とは」:エンゲルス
「シャトー・マルゴー1848年」(グランクリュの赤ワインで、この年はワインの
当たり年:筆者注)》
《・・・・不思議なことにいやしい人柄の人たちが造ったワインは、一口飲んで
良いと感じても、二口、三口飲んでいる内に馬脚が現れる。かといって、人柄
の良い人物が誠心誠意ワイン造りをしても、必ずしも秀れたワインが出来る
とは限らない。風土、良質のぶどう、醸造技術、熟成の思考、そして人がワイン
にかける愛情、五つの要素の必要なことを、このシャトー・ラ・ミッション・オ・
ブリオン(ボルドーにある名シャトー:筆者注)でしみじみと感じた》
(以上、『ワインの旅』角川書店)
最後の言葉が、ワインの奥深さを物語っています。それでは、なぜ白ではなく
赤ワインなのでしょうか。その説明には、開高健氏の次の言葉に優るものはないかも
しれません。「ワインというのは、1本のビンの中に二人の女がいる。コルクを
抜くまでは処女、抜いてからは熟女・・・・」(『舞台のない台詞』文化出版局)
(もちろん、このワインは、空気に触れると味が七変化する赤ワインのことです。)


【百寿者になろう】より抜粋(著者の了解済み)
 著者 杏林大学医学部教授 大野秀樹
 定価1,260円(税込)


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