| 「百寿者(ひゃくじゅしゃ)になろう」抜粋集 |
| ■ (30) 酒は百薬の長か |
| 酒は百薬の長か@ 酒の中でもとりわけ赤ワインには、抗酸化作用があるポリフェノールが 豊富に含まれていて、動脈硬化を抑制します。その実際の効能は、高い 脂肪摂取量にもかかわらず動脈硬化性心疾患の発病が少ない『フレンチ パラドックス』という現象で確かめられており、赤ワインが百寿者を 目指す有効なツールになることを紹介します。 ■ 酒のおいしい飲み方 筆者は、大学時代、登山などで海外へ出かけたり、宝石鑑定の勉強で 東京の築地へ通ったりと、箸にも棒にもかからない研究者の卵でした。 当然、恩師高桑栄松先生(現・北海道大学名誉教授)との接触も少なく、 学問薫陶を受けたとは到底いえないダメ大学院生でした。しかし、お酒 の薫陶だけは、率先してよろしきを得ました。「大野君、ビールはコップに 半分注ぐんだよ。まだ残っているうちに注ぎ足してはいけないよ」 後に、池波正太郎氏が同じことを書いているのを読んで、感心いたしました。 「コップに三分の一くらい注いで、飲んじゃ入れ、飲んじゃ入れして飲むのが、 ビールの本当にうまい飲み方なんですよ。ビールを注ぎ足すのは、愚の骨頂で、 一番ビールをまずくする飲みかたなんだよ」(『男の作法』ごま書房) 飲み方を勉強すると、夜のネオン街につらくて楽しい修行に出かけなければ なりません。旅先でも、気に入ったお店があると、浮気をせずに毎晩その店だけに 通う習性をお持ちだった作家の山口瞳氏の酒場論は参考になります。 「私は、酒場とは『伊達ひく所』だと思っている。キザだと思う人は、そう思って くれてもかまわない。伊達とは心意気である。むこうがこっちに尽くしてくれる。 こっちもむこうに尽くす。こっちがヒイキにする。むこうもヒイキにしてくれる。 そいいう関係だろうと思う。そうでなければ、高い金を出してあんな所へ行く意味 がないし、おもしろくもなんともない」(『礼儀作法入門』祥伝社) この項は、山口氏と寿屋(現・サントリ)で同僚だったお酒の達人・開高健氏の 言葉で終えようと思います。 「どの酒でもそうだけど、口に入れたら、歯ぐきへまわしてしみこませるんだ。 そこでしばしためらって本質が登場するのを待ち、かつ、眺める。歯ぐきはたいせつ なんだよ。鑑定家が酒を飲むところを見てると頬っぺたがコブみたいにプクッと ふくれるが、あれはこのためだ。これを、ぶどう酒を『噛む』という」 (『舞台のない台詞』文化出版局) |
| 【百寿者になろう】より抜粋(著者の了解済み) 著者 杏林大学医学部教授 大野秀樹 定価1,260円(税込) |