トンカットアリの老舗「百寿庵」

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「百寿者(ひゃくじゅしゃ)になろう」抜粋集


■(2)池波正太郎と瀬戸内寂聴の老いの戒め

池波正太郎氏は、いうまでもなくあの鬼平や梅安、秋山小兵衛の作者です。
食通としても知られ、「食卓の情景」(朝日新聞者)という名著を残していま
す。さらに、「男の作法」(ごま書房)という実際に役に立つ、メリハリの
利いた人生読本を著し、彼の作品ばかりではなく生きざまに対しても、
私のような熱烈なファンが少なくありません。
彼の老い(あるいは人生)に関する名セリフをちょっとご紹介します
(原文のまま)。
「人間はねぇ、60の還暦を越すと、おもってもみなかった世界が
ひらけてくるものなんだよ。もっともそれは、人にもよるがね」
「どんな世界なんです」
「胸の内の自由な世界だ」
「いつ、いかなる世にも【自由】は心象の中にしか存在しない。
このことを真にわきまえるのは、やはり60を越えてからということに
なるのだろう」
「いずれにせよ、人間の一生にあたえられた(歳月)と(時間)は、
呆気ないほどに、わずかのものである・・・・と、そこへ
おもいがおよぶのは50をこえてからだ」
「ある落語家が誰かに『長生きも芸のうち』といわれたんです。
それを自分の信条にしたわけだ。そうしたら、その落語家の芸は
パッと落ちた」
「いまは高齢化社会といって、80まで生きられるとみんな喜んで
いますが、いずれにしても、40を過ぎたら、人間は死ぬということを
悟ったほうがいい。人生の一大難事ですからね」
(以上、『池波正太郎の春夏秋冬』文芸春秋)

一方、瀬戸内寂聴さんは、『源氏物語』五四帖の現代語訳を成し遂げ、
最近、野間文芸賞を受賞するなど、80歳を越えた今も精力的な
作家活動を続けています、突然の出家からは30年になり、
岩手県二戸郡淨法寺町で第73世天台寺住職としても大活躍をしています。
「作家の城夏子さんは、老人ホームのバスに乗らないし、ホームの食堂で
食事をしたがらず、自分の部屋でひとり食べていた。理由をたずねると、
『だって、バスも食堂も、まわりは老人ばっかりなんだもの』」
「れっきとした数え年80バーサンの私の元気の秘訣を教えてくれと
いわれる。何の秘訣もないので教えようがない。
強いて探せば、自分の実年齢にこだわらないことだろうか。それに、
持ち時間は日々減っていくのだから、今更いやなことは
一切しないということだろうか。あとは、自分よりうんと若い人たちと
つとめて会い、彼等の生気を吸い取ることだろう。
年寄りのぐちっぽい話からは逃げ出すことだ」
「老人が自分の身を護るには、働けるかぎり働いて、病気にならない
ように気をつけるにしかずある。転ばないよう、暴飲暴食を
つつしみ、風邪をひかないようにするしかない。あんまり気をつけて、
100まで生きたらどうしよう。惜しまれる年齢は、とうに過ぎた」
(以上、毎日新聞2001年9月9日「時代の嵐:老いの戒め憂いもこだわりも
捨て」)

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